Web系エンジニアのアウトプット練習場

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脳に眠る獣の力を利用して「ヤバい集中力」を手に入れよう

集中力が続かないイメージ

私は普段、エンジニアとして設計やコーディング、ドキュメントの執筆などとても集中力を必要とされる作業をこなしています。
ただ、どうしても集中力が続かず、優先度が低いにも関わらずワクワクするような作業を優先してしまうことがあり、場合によっては一日中その優先度の低い楽しい作業に没頭してしまうこともあります。

これはいかん。と。

ただ、何の知識も無しで、こういった衝動性を抑えつけ、優先すべき作業に集中力を向け続けるセルフコントロール能力を向上のはめちゃくちゃ難しいなと感じていました。

そこで手に取ったいくつかの本を手に取り、そのうちの一冊が今回紹介する「ヤバい集中力」というわけです。

ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45

ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45

  • 作者:鈴木 祐
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2019/09/20
  • メディア: 単行本

本の表紙に描かれている虎は「脳内の獣」を表しており、「ヤバい集中力」を得るためにはこの獣を上手く利用し、導かなければなりません。

「ヤバい集中力」では獣をうまく利用する方法がいくつも紹介されています。
あのメンタリストDaigoさんもオススメしている本で、研究結果に基づいた科学的な根拠のある内容になっています。

それでは、いくつか印象的な部分をピックアップしてみます。

獣と調教師の話

人間の心(脳)は2つに別れており、獣を「本能を司る部分、衝動、辺縁系」、調教師を「理性を司る部分、前頭前皮質」と例えられることが多い。

基本的に調教師は獣に勝てないことを知っておくべきで、調教師が真っ向から獣と戦っても結果は惨敗。
調教師はうまく獣を誘導して利用する他ない。

獣(衝動)の特徴

  1. 複雑なものが嫌い
  2. あらゆる刺激に敏感
  3. パワーが強い

抽象的で複雑なものは嫌いですが、並列処理が得意であらゆる刺激に反応でき、パワーは秒間1100万もの情報を処理できるほどに強い。
獣が複雑なものを嫌うのはエネルギー消費を抑えるためである。

調教師(理性)の特徴

  1. 論理的思考
  2. エネルギー消費が多い
  3. パワーが弱い

複雑で抽象的なものを扱うのは得意だが、エネルギー消費が多くパワーも弱い。
調教師は獣とは対象的に並列処理が大の苦手で直列処理しかできない。

獣(衝動) vs 調教師(理性)

正面から戦ったら獣が圧勝してしまう。
故に「集中力アップに楽な道はない」

調教師は獣をこなすべき作業や課題に誘導する道筋を作ることができれば、獣の莫大なパワーを狙った方向に使うことができる。

様々な刺激にさらされている現代社会で獣が暴走しがちだが、うまく獣を扱う技術を身につけられれば、その人の大きな武器になる。
獣を利用するにはいくつかのテクニックがある。

獣を手懐ける方法

カフェイン

  • コーヒー一杯飲むと約30分で疲労感がやわらぎ、注意力の持続力が向上
  • 5%も集中力がアップ

カフェインの効果を最大限享受するには、飲み方と飲むタイミングが重要。

  • 1度にコーヒー2杯以上飲まない
    • カフェインのとりすぎは副作用が出る。不安感や焦燥感の増加、頭痛、短期記憶の低下など。
  • 起床後90分はカフェインを取らない
    • コルチゾールと干渉し、副作用がでてしまう*1

私の場合もカフェインを摂りすぎると見事に頭痛になったりしていた。
半年間ぐらいは毎日9時半と13時半ごろに2杯コーヒーを飲むようにしているが、頭痛がすることはなくなった。

食事

MINDという食事法がおすすめ。

脳に良い10のフードカテゴリと脳に悪い7つのフードカテゴリがあり、以下のルールに従う。

  • 脳に良い食品を増やす
  • 脳に悪い食品を減らす
  • カロリー制限はしない

食品にスコアをつけて記録する方法などが紹介されている。
守れた日にカレンダーに丸をつけるだけでも、健康的な食事の量が増えるそう。

記録の回数が多ければ多いほど食習慣は改善するというデータもあるので、MINDのルールに従って食事日記をつけることがおすすめ。

報酬

獣を惹きつけるのは主に以下の2つの要素。

  • 報酬のニアミス感
    • 「あとちょっとで手に入る・・・!」といった感覚
  • 報酬のスピード感
    • 報酬がすぐ与えられること*2

よって、タスクが難しすぎると、獣が惹きつけられず集中力は持続しない。
ただ、いつでも報酬が得られそうな場合は獣は反応しない。

よって、タスクは難しすぎても簡単すぎても集中力には良くない。

この問題を解決するために「報酬感覚プランニング」が紹介されている。

儀式

儀式とは

「厳格さ」と「反復」という2つの特徴を持つ、あらかじめ決められたプロトコル

である。

獣の内部には「反復」に強く反応するセンサーがある。

ある実験では認知テストの前に「指を10回鳴らす」という儀式を取り入れたところ、成績が21%もアップした。

よって、集中力アップのテクニックの一つとして「マイ儀式」を作ることが有効である。

マイ儀式の作り方

  1. 「この動作をしたら大事な作業に取り組む」と決めておく
  2. 「決めた手順を何度もくり返す」

ここで、動作は無意味なことでも良いが、どうせなら役に立つ作業を儀式に取り込むほうが好ましい。

朝イチは簡単なタスクから

朝は脳が整理されてキレイな状態だから難しいクリエイティブな作業から、というふうに考えていたので、驚いたポイント。

ある実験では、重要なタスクからこなすグループと簡単なタスクからこなすグループでは、簡単なタスクからこなしたグループの方がタスクの達成量が多かったという。

長期的で重要なタスクよりも短期的で重要度の低いタスクに意識を集中させてしまう現象のことを「達成バイアス」という。
ここ数年の研究では、「達成バイアス」を利用したほうが難しい作業から手をつけるよりも、最終的な成果が上がりやすいという報告が増えてきている。

達成バイアスで集中力が上がるのは、簡単なタスクをこなした達成感によるドーパミンの分泌が大きな原因である。

記録して達成グセをつける

ある実験では家計簿サイトを使って日々の支出を記録するように指示したところ、ストレスレベルが下がり、集中力が上がる結果が出たのだそう。

「達成バイアス」の影響もあるが、「自己効力感」の影響も大きい。
自己効力感、すなわち獣が「自分には高い能力がある」と感じることが、日々の作業をこなす意欲を高めてくれる。

ただし、記録の仕方には注意する必要がある。以下を守らないと効果は激減する。

  • 行動を変えたいときは自分がとった行動をだけを記録する
    • 運動習慣 => 運動した日数を記録
  • 結果を変えたいときは、結果への過程だけを記録する
    • 減量 => 体重の推移を記録

また、記録の効果が出るまでは最低2ヶ月を要する即効性の無いテクニックである。

小さな不快を乗り越えて自己効力感を高める

小さな不快とは例えば以下のようなもの。

  • 夜お菓子を食べることを我慢する
  • 好きなお酒をちょっとだけ我慢する

普段自分がとっている行動を正すような小さな不快を与えることで、精神に負荷がかかる。
これは「心の筋トレ」のようなもので、これをするだけで自己効力感が増し、集中力はアップしていく。

「不快」の難易度は成功率が8〜9割になるように設定するのが良い。

良い「不快」が見つからないときは「5のルール」を適用する。
例えば、目の前の作業を辞めたくなってもあと5分だけ続ける、など。

物語

物語によって自分のアイデンティティを確立できれば、集中力アップにつながる。
例えば「自分が読書家だ」というセルフイメージを作ることができれば、集中力が切れそうになっても本を読み続けられる。

これは「認知的不協和」と呼ばれるもので、矛盾した状態に置かれた人間は本能的に不快感をいだく。

どうやって自己像を作り上げるか。

  • レベル1: ステレオタイピング
  • レベル2: ジョブチェンジング
  • レベル3: 指示的セルフトーク
  • レベル4: VIA SMART
  • レベル5: ピアプレッシャー

レベル4のところで紹介されている、VIAテストも面白いので是非。無料。

諦めて休む

集中力は天邪鬼で、どんだけ集中しようと頑張っても集中できないことがあるので、時には諦めて休むことも重要である。

これもレベル別に紹介されている。

  • レベル1: マイクロブレイク
    • マイクロブレイクは数十秒がから数分の休憩を細かくとる
    • ポモドーロテクニックなんかもこれを利用したものかな?
  • レベル2: タスクブレイク
    • 難しいタスクの間に簡単なタスクを挟み込む
  • レベル3: アクティブレスト
    • ウォーキングなどの軽い運動
  • レベル4: ハイパー・アクティブレスト
    • 息が荒くなって会話ができないレベルの運動
  • レベル5: 米軍式快眠エクササイズ

まとめ

「ヤバい集中力」を読んだあとに感じたことは、「集中力」も鍛えるべき「技術」の一部なんだなということです。
集中力が特に高い人はそうでない人に比べて4倍の生産性を上げることができるそうです。

そして、集中力は生まれつきの才能が50%を占めているそうですが、残りの50%は後からでも修正が効く要素だそうです。
50%も修正の余地があるのであれば、修正しない手は無いと思うのは私だけでしょうか。

その点、この本は集中力とどう付き合っていくのかが科学的根拠とともに明確に示されています。
一度、「ヤバい集中力」を読んでみて自分の「集中力」を見つめ直してみるのはいかがでしょうか。

ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45

ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45

  • 作者:鈴木 祐
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2019/09/20
  • メディア: 単行本

*1:時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」では8時から9時までがコルチゾール分泌のピークだとも紹介されています

*2:先延ばし人間は「今すぐ」読むべき -ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか- - Web系エンジニアのアウトプット練習場の先延ばし方程式と矛盾しませんね